空軍基地から空の玄関口へ クラーク国際空港を紹介します!

2023年7月22日、フィリピン政府はマルコス大統領が新型コロナウイルス対策で宣言していた公衆衛生上の緊急事態を解除したと発表しました。
これにより、3年以上に及んだ全ての規制は原則撤廃されることになります。

それに伴い、フィリピン来訪者はさらに増えることが見込まれますが、そうなると重要な要素となるのは空の玄関口【空港】です。
今回は、当社現地法人「HARUCOMZ INC.」の地元であるクラーク地域の空の玄関口「クラーク国際空港」についてご紹介いたします。

クラーク国際空港のはじまりは、1919年に建設されたアメリカ軍クラーク飛行場です。
当時フィリピンはアメリカの植民地であり、この地に米軍の飛行場が建設されました。

[1920年代]クラーク飛行場
(1920年代のクラーク飛行場)

ちなみに、クラーク飛行場の名前は、アメリカ陸軍通信隊少佐であったハロルド・メルヴィル・クラーク氏(Harold Melville Clark、1890年10月4日~1919年5月2日)が由来です。
ミネソタ州セントポールで生まれたクラーク氏は、父親の仕事の関係でフィリピンに移住した1904年から高校を卒業する1910年までマニラに住んでいました。

ハロルド・メルヴィル・クラーク
(ハロルド・メルヴィル・クラーク氏)

1941年12月に太平洋戦争が勃発し、1942年にフィリピンは日本軍によって占領されました。
時のアメリカ極東陸軍司令官ダグラス・マッカーサーがフィリピンから退避する際に残した言葉
“I shall return.”は大変有名です。
その後、日本にとって戦局は悪化の一途を辿り、クラーク飛行場からは神風特攻機が飛び立つようになりました。

1945年8月に日本の敗戦という形で太平洋戦争が終戦すると共に、フィリピンは再びアメリカの支配下に戻り、クラーク飛行場は1947年3月に「アメリカ合衆国空軍クラーク空軍基地」となりました。この時、アメリカとフィリピンは1991年9月までクラーク空軍基地の使用を規定した軍事基地協定を調印しました。
1975年まで続いたベトナム戦争において、クラーク基地はアメリカ空軍にとって重要な出撃地の1つでした。

[1945年]クラーク飛行場
(1945年クラーク飛行場)


(1970年代頃のクラーク空軍基地入口/写真がセピア調に…)

[1989年]クラーク空軍基地
(1989年頃のクラーク空軍基地頃/写真がカラーに…)

クラーク基地のピークは1990年頃で、15,000人もの人が住んでいました。
学校、レストラン、映画館、百貨店、ホテル、ゴルフ場、放送局などが完備され、商業エリアと住宅エリアとに分かれていました。
アメリカ国外最大の米軍基地がクラーク基地でした。

しかし、クラーク基地の使用期限延長に関する交渉が進んでいた1991年4月、20世紀最大規模といわれる「ピナトゥボ山の大噴火」が発生しました。
ピナトゥボ山から20km程度しか離れていない平野にあるクラーク基地は当然ながら火山灰による甚大な被害を受け、基地としての機能を果たすことが出来なくなりました。
折しも東西冷戦の終結というタイミングとも重なったこともあり、クラーク基地はアメリカからフィリピンへ返還されることとなったのです。

返還後は、旧基地エリアはフィリピン政府直轄の経済特別区(クラークフリーポートゾーン)として独自の発展を遂げてきました。
また、飛行場も民間旅客機とフィリピン空軍との共同利用による国際空港として現在に至ります。
※なお、中国の「力による現状変更」を狙いとした海洋進出への懸念に伴い、2012年よりアメリカ軍が駐留を再開しています。

昨今、首都マニラのニノイ・アキノ国際空港の離発着便数が限界を超え、過密スケジュールによる頻繁な遅延が発生していることから、その解消手段として、マニラから比較的近いクラーク空港を有効活用する方針が採られ、徐々に離発着便がクラークへ移されています。

それに伴って、ターミナルの大幅拡張と機能の充実化が図られ、コロナ禍の中、2022年に新ターミナルがオープンしました。
波打つ木目調の屋根は美しく、フロアも大幅に増床され、利便性も各段にUP。
(広くなったことで、乗り遅れそうになった際はかなりの距離を走らねばならないこともありますが・・・)
コロナ禍もほぼ収まった今、離発着便数と旅客数も徐々に増えており、活況を呈し始めています。


(現在のクラーク空港到着フロア)

[現在]クラーク空港(出発フロア②)
(現在のクラーク空港出発フロア)

クラーク
(現在のクラーク空港出発フロア)

フィリピンにお越しになる際は、装い新たなクラーク国際空港をぜひご利用いただきたく思います。
成田空港からはクラークへの直行便が週4便就航しています(セブ・パシフィック航空)。
また、他の空港からの場合は、ソウル(仁川)経由で簡単にお越しいただけます。

クラークでお待ちしております!

<参考文献>
Clark International Airport
https://clarkinternationalairport.com

<Wikipediaサイト>
▶ クラーク国際空港
▶ クラーク空軍基地
▶ Harold M. Clark

▶ セブ・パシフィック航空(公式サイト)

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